桶狭間の戦いに今川義元を倒して波に乗る織田信長の次の目標は、美濃（岐阜県）の攻略でした。
実際に名古屋に行ったことのある人なら分かると思いますが、名古屋と岐阜というのは案外近いのです。信長の本拠地・清州城から美濃・斎藤氏の本拠地である稲葉山城（後の岐阜城）まではほんの２０ｋｍくらいしか離れておりません。ですが尾張と美濃の間には木曽川、長良川という天然の要害があったため、信長の美濃攻略作戦はなかなかうまく行きませんでした。
そこで信長は長良川のほとりに前線基地を築けば美濃攻略が一歩前進すると考え、墨俣の地に城を築くことを画策し、佐々成政などに命令を下すのですが、それまたうまく行くことはありませんでした。
墨俣に城を築くことさえ出来れば美濃攻略は目前なのに！そこで墨俣築城作戦に名乗りを挙げたのが、信長の草履取りから取りたてられて以来、メキメキ頭角を現して現在絶賛売り出し中の新参者・木下藤吉郎・・・のちの豊臣秀吉だったのです。


この男が作りました

藤吉郎は諸先輩の失敗の原因をよくよく研究した結果、見事にこの築城作戦を成功させたのでした。
ってことで訪れた墨俣城なのですが・・・


ちがーうーだーろー！

なんだよこの立派すぎる模擬天守閣は(^^;　いやさ、墨俣城ってのは入りくんだ川のデルタ地帯に築かれた前線基地であって、どちらかというと城というよりかは砦と言った方がイイものなんですよ。


こういうヤツをもっと再現すればイイのに〜

なのでどーせ復元するんだったら、こんな城城したものよりも、こういうもっと逆茂木とか土塁の砦砦したものを作ってみた方が雰囲気でると思うんですけどねえ・・・


でもせっかくだから入ってみるか

とは言ったものの、実際に訪れた墨俣の地において、ここがいかに戦略的要衝地であるか、なぜゆえ佐々成政らが失敗して木下藤吉郎は成功したのかと言ったことを実地に感じることが出来ていたんでもう満足はしておりました。
でもせっかくこんな"展望台"があるのに登ってみない手はありません。


あらなかなか楽しそう♪

ってことで入ってみた天守閣風の墨俣歴史資料館なのですが、これが結構楽しかったのですよ。
この模擬天守閣は天守閣として、しっかりとした当時の墨俣城再現模型が飾ってありましたし、尾張、美濃、墨俣の位置関係図や合戦の経過なんかも分かりやすく解説してあります。


その他の秀吉のかかわった合戦も解説しているし

以前に訪れて感心した清州城ほどでは無いにしても、この墨俣城の内部も歴史を楽しく知ってもらおうという試みがたくさんなされておりました。


やっぱ本丸跡からの眺めは高いところからでないと

ここに来るまでにもこの墨俣の地というのがいかに川川した地形であるのかは存分に堪能していたのですが、こうして高台から見下ろしてみると、改めて木曽川長良川の天然の要害具合が伝わって来ます。


あそこに見えるのが稲葉山城

この展望台からはうっすらながら、攻略目標である金華山の稲葉山城天守閣の姿も見えるのです。実際の墨俣城にはこんな展望台的天守閣は無かったにしても、きっと藤吉郎も同じようにあの稲葉山城の姿を目の当たりにしながら闘志を震わせていたのではないかと思うと胸が熱くなりました。


これはこれでアリかも☆

前々から書いているとおり、アタシは安っぽい復元天守閣が嫌いな訳ではありません。でもさすがに、墨俣城みたいな"砦"にそういうのはそぐわないんじゃないかと思っておりました。
という訳で最初にこの模擬天守閣を見たときはちょっと微妙な気持ちになりましたけど、高いところから城周りや城下町を見下ろす爽快さは格別です。
最初に見たときは微妙に思ったこの墨俣城天守閣でしたけど、これはこれで全然アリっていうかむしろあっても良かったなと思うことが出来ました。


ほんとに川の中州にあるんだよな

ところで藤吉郎はいったいこの墨俣城築城作戦をどうやって成功させたのか？
佐々成政ら諸先輩は正攻法で城を作ろうとすると対岸から斎藤勢が攻めて来てうまく行かなかったのを見て、現代のプレハブ建築方式のようなことをやればうまく行くのではないかと思いつきます。
具体的には、事前に川の上流で材料を切りだしておいて筏を組んで流し、下流の墨俣でこれを拾い上げてササっと組みたてるという連携プレイを用い、またたく間にこの墨俣城を完成させたのです。その早さがまるで一夜で城が出来たかのごとくであったため、墨俣城は墨俣一夜城と呼ばれることになったのでありました。
藤吉郎はその後の美濃攻めでも存分に手柄を立てて、織田家中での出世階段を更に駆けあがって行ったのです。


墨俣城
岐阜県大垣市墨俣町墨俣１７４２の１

★この墨俣のデルタ地形を存分に味わうために長良川の川べりを歩いていたら、思いのほかにきれいなものを見つけましたので、以下ココチップに紹介してもらうことにします☆


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