蜻蛉切 〜戦国一の勇者の槍〜 (2015.1.30)

最強の戦国武将は誰? もちろんそんなのなかなか答えの出る話ではありません。
それが個人の武勇によるものなのか、はたまた領土経営まで含めた総合的な統率力なのか、あるいは野戦司令官としてなのか? そもそもの定義付けからして厄介です。そのうえ、伊達政宗があと20年早く生まれていたら?とか織田信長が生まれたのが尾張ではなく九州や東北だったらあそこまでの版図を獲得できたのか?などなど考えて行くと、ますますキリの無い話です。
そんな幻想と言ってもイイ存在である最強戦国武将という称号に、あと一歩のところまで踏み込んでいると言ってもイイ武将の一人として、本多平八郎忠勝という人がいます。
この本多平八は何しろ歴史ゲームメーカーの第一人者たるKOEIの人気ゲーム・戦国無双シリーズにおいて最強の武将として登場しているのですが、本多平八が戦国最強武将であることについて、大概の戦国オタが異議申し立てをしないくらいの存在なのですから凄いと思いません?

さてこの本多平八の実像についてなのですが、なるほど確かに戦国最強武将を名乗っていても恥ずかしくない戦歴を持っております。三方が原の戦いにおいてはあの武田信玄に一泡吹かせ、

「家康に過ぎたるもの二つあり。唐の頭に本多平八」
(唐の頭とは南蛮兜のこと)

と称えられております。
また、小牧長久手の戦いにおいてはわずか500の手勢で2万の秀吉軍本隊を手玉にとり、秀吉の猛攻を凌ぐという大活躍も見せております。この本多平八の活躍が無ければ家康は小牧長久手の戦いで完全敗北をしていたかもしれません。後に天下統一した秀吉が諸大名を大阪に集めた際に、本多平八のことを東国一の勇者として認定したのは、このときのことがあったからこそなのでしょう。(西国一の勇者認定されたのは立花宗茂
本多平八は他にも数えきれない戦に出陣しながら掠り傷ひとつ追うことが無く、本多平八がいなければ家康が最後に笑うことは無かったと言っても過言ではないほどの大活躍をした歴戦の勇士なのです。

この戦国最強の勇者・本多平八の右手には、いつも蜻蛉切(とんぼきり)という名槍が握られておりました。なんでもこの蜻蛉切、飛んで来たトンボがその穂先に触れたらそのまま真っ二つに切れてしまったから蜻蛉切と名付けられたという名槍中の名槍です。しかもその持ち主というのが本多平八というのですからこれはまさに鬼に金棒虎に翼。というかそっくりそのまま平八に蜻蛉切という定型句にしてもイイくらいの凄い組み合わせではありませんか。

さてこの蜻蛉切、太平の江戸時代が訪れた後も、大名として残った本多家の家宝として代々伝えられておりました。でもそれが明治維新から太平洋戦争を経て紆余曲折いろいろあって沼津市在住のとある大金持ちの所有するものとなったのです。
そもそもアタシはその蜻蛉切という槍のことは今から25年ほど前に影武者徳川家康というマンガで知っていたのですが、それが今でも現存していると知ったのは今から3年ほど前のことです。
それからはいいなーその大金持ちうらやましー(><)いつか公開してくれ見せてくれ!!!とずっとずっと思い続けていたところ、それがなんとついに!三島市佐野美術館で一カ月の間で限定公開されるというではありませんか(><)。


こいつは行くっきゃない!

それなら早速と行って来ましたよ三島市に! 速効で休暇を取って新幹線の券買って!!


この中に蜻蛉切が!!!!

3万円出して3時間半かけて来たこの佐野美術館! だけど、アタシが見たいのは蜻蛉切ただ一つ、その他のものは一切どうでもいいわ!


ついに来てしまったぞ!

美術館に入っるや否や、とにかくアタシは、キョロキョロ血眼でズンズン奥へと進んで行きます。するとちょっと奥にいた美術館の案内人らしき人がニッコリ微笑み、あたかも「どうぞこちらへ」というゼスチャーでアタシを招いているではありませんか。
その案内人さんの右手の示す先に行ってみると…

あったあああああああ!!!!!!!!
白銀に輝くその細長い切っ先!これぞ蜻蛉切!!
あの夢にまで見た本多平八の分身が今アタシの目の前に!!!
これを感動と言わずなんと言いましょう(><)思わず涙がこぼれそうになりましたよ(T T)

でも残念ながらこの蜻蛉切は厳重に撮影禁止らしく、アタシを手招きしたお姉さんかおばさんか微妙な案内人さんは、どうやらその見張りのためにいるようでした。
さてこの幾人の血を啜り、幾多の勝利を導いてきたこの伝説の名槍を見た感想なのですが、これはもう槍というよりも芸術品といってもイイものでした。とにかくその輝き具合とみなぎるオーラは、槍と呼ぶには勿体ないほどの美しさでした。

後で案内人さんに聞いてみたら、コイツは一目で蜻蛉切目当ての客だろうなと分かったそうですw 実際、アタシのようないかにもな戦国マニアはワラワラと訪れていて、土日なんぞは行列が出来ているとのことでしたから。
実のところアタシは今日、蜻蛉切を見たあとは東京見物でもして帰ろうかと思っていたのですが、あいにく今日の東京は真冬の雨雪日。それなら決行を快晴予報な明日にずらそうかとも一瞬思ったのですが、いやいやいやそもそも今日のアタシは何しに行くのかと言えば蜻蛉切を見るのが第一目的であって東京見物など二の次だ、土日は人がワラワラしているかもしれんから、今日は東京見物作戦は止めにして蜻蛉切り見てトンボ帰り作戦に変更だ!なんてことを思っていたところです。それがそうしてみたおかげでそんな行列には巻き込まれず、一人ゆっくり蜻蛉切を一人占めで眺め続けることが出来たのですから、本当雨雪の中来て良かったと思いましたよ。

天下の名槍蜻蛉切。戦国マニアを自負するならば、絶対見ておくべき逸品です(><)

蜻蛉切
沼津市の大金持ちの所有。

次回公開はいつ何処になるんでしょうね?


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