宮古湾 〜奇襲海戦・アボルダージュ!〜 (2017.9.8)

戊辰戦争で敗れ敗れた旧幕府軍は北へ北へとのがれて行き、最後は箱館の五稜郭に立てこもり、蝦夷共和国を名乗って新政府への抵抗を続けたのはご存じのことかと思います。
1869年3月、新政府軍はこの蝦夷共和国を叩くべく4隻の戦艦を出動させました。その4隻の戦艦がそのまま攻めてきたら勝ち目は無い!そう考えた旧幕府軍は一か八かの大博打作戦を敢行します。それがこの宮古湾で起こった宮古湾海戦なのです。


旧幕府海軍の運命、この海に託される

普通、戦艦同士の海戦と言えば、遠く離れて大砲を撃ち合うものなのですが、この宮古湾海戦は違います。なんと!旧幕府軍艦隊は宮古湾に停泊する新政府軍の戦艦にコッソリ近づいて横付けし、そのまま奪い取ってしまおうという、不敵に大胆な大作戦を計画したのです。
果たしてそんなに都合よく事が運ぶのだろうか?と素人目にも心配になるこの作戦、やはりそううまく行くことはありませんでした。
まず最初に、敵に見つかることなく宮古湾に突入できるのだろうかという心配事が思いつくところでありますが、海軍奉行・荒井郁之助率いる3隻の艦隊は、無事に宮古湾に辿り着くことすらできませんでした。函館を出港した艦隊は暴風雨に合い、3隻のうち1隻は行方不明、1隻は機関が故障してしまい、まともな戦力は旗艦の回天1隻にまで落ちてしまったのです・・・それでも蝦夷共和国の命運をこの一戦に賭ける荒井郁之助は、回天ただ一隻で宮古港に殴り込みをかけたのでありました。


宮古湾に突入成功!

作戦成功への第一関門の時点ですでに満身創痍の荒井艦隊ですが、それでも何とか宮古港に停泊する新政府軍の戦艦・甲鉄へ奇襲攻撃をかけることに成功します。
・・・が、ここで次の問題が発生します。当初の予定では、甲鉄へ接舷奪取を果たす役割は回天以外の2艦であり、回天はそのサポートに当たる作戦でした。何故なら回天は旧式の外輪型蒸気船であり、艦の両サイドに巨大な車輪がついているために、艦同士を横付けすることができないのです。


甲鉄を奪うんだ!

仕方ないので回天は横付けではなく、バイキング時代の海賊船のように正面から甲鉄に突っ込んで行って見事その艦腹を捕えることが出来たのですが、荒井には更なる不運がつきまといます。回天の戦闘員がいざ甲鉄に乗り移ろうとするも、両艦の間には3mもの高低差があったのです・・・
それでも現場指揮官・甲賀源吾が突撃を命じると、回天の兵士たちは果敢にも甲鉄の甲板へと飛び降りて行きます。
・・・ですが、細い船首から飛び降りてくる回天兵は甲鉄守備兵の恰好の餌食となり、甲鉄に備え付けられたガトリング砲にバタバタとなぎ倒されて行ったのでありました・・・
こうして旧幕府軍起死回生のアボルダージュ作戦は失敗に終わり、蝦夷共和国はいよいよ新政府軍に追い詰められることになったのでありました。


回天この海に散る・・・

さて結果だけを見てみると、旧幕府軍の立てた作戦はあまりに無謀であり、このような敗戦を喫したのも当然の結果かなとは思います。
でも後に、この海戦に新政府軍砲術士官として参戦していた東郷平八郎は、この回天による大作戦のことを「意外こそ起死回生の秘訣」と高く評価し、日本海海戦での采配に活かしたと言われております。
また、数々の不運に見舞われながらも勇猛果敢に戦った回天艦長・甲賀源吾についても、「甲賀という男は天晴れな勇士であった」と敬意を表したそうです。


美しき宮古湾

ってことで訪れてみた宮古湾なのですが・・・とにかく綺麗!美しすぎます(><)
詳しい解説はココチップに任せますが、とにかくリアス式天然良港の海景色の良さに圧倒されてしまいました。
宮古沖海戦が起こったのは3月25日の明け方とのことですが、宮古湾に突入しようとする回天の兵士たちもきっと宮古湾の美しさに感動したのではないかと思います。もしかしたら

「俺、この海戦が終わったら国に残した幼馴染とこの宮古湾に新婚旅行に来るんだ・・・」

とか言っていたのかもしれませんね。
・・・まあさすがにそれは無いにしても、もしかしたら回天に乗り込んでいた土方歳三が、

「この海戦で見事勝利し新政府軍を倒した暁には戦じゃなくて海遊びに来ようぜ!」

くらいは言っていたかもしれません。



宮古湾海戦跡地
岩手県宮古市 浄土ヶ浜



この日は気仙沼に泊まり、

次の日は松島で遊んで帰還しました。


てな感じで2017年・みちのく一人旅は無事任務完了となりました。
今回の旅はちょっと史跡巡りが少なめなので、自分的にはちょっと無理矢理コース組んだ感が強かったのですが、東北地方の雄大な自然につつまれたイイ旅となったと思います。
特に青森県は、青い森と書くだけあって、本当に緑豊かな県でした。また、盛岡から宮古に移動する際に越えた奥羽山脈に流れる清流の美しさにも目を奪われましたね。
アタシの夏休み一人旅は基本的に史跡巡りをベースにしている訳ですが、東北地方はそういうの関係無しに、自然を楽しむだけの旅でもぜんぜんいけそうな感じです。
また、今回の旅ではうまいこと行く先々のおいしい名物料理をしっかりコンプリートできたのもよかったです。
でもそのぶん食費がすごいことになりましたけど、やっぱり旅先でそのへんをケチってはいけません☆
おいしい食べ物の思い出ってのは一生プライスレスで話のネタにできますからねw



◆◇◆ お便り感想♪お待ちしております(^^) ◆◇◆


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