岩村城 〜女城主とジゴロ大名〜 (2013.9.17)

日本の戦国時代には、実にユニークな存在がキラ星のごとく輝いております。女城主がいたかと思えば、その城を攻略するのに寄せ手の大将が女城主を口説き落としてしまったなどという冗談みたいなことが起こってしまったのがこの岩村城なのです。


珍しいですよね

信濃(長野県)と美濃(岐阜県)の国境は、武田信玄と織田信長という戦国二台巨頭の最前線でした。そんな大国の狭間でガンガって小城の岩村城を守り抜いていたのは、織田信長の叔母・おつやの方という女城主だったのです。

女が守る城なんざチョロいモンだろとタカを括って岩村城に攻め寄せたのは、武田二十四将が一人、秋山信友でした。でもそこは流石に女とはいえ城主があの織田信長の叔母であり、信長がそんな女性に守りを任せてあるということは物凄く固強い城なのです。秋山信友の軍勢は散々に打ち破られたのです。


いい感じの山城です


「ちくしょう!女が守る城の一つも攻め落とすことが出来ないんじゃあオレはイイ笑いものだ! でも相手が女というならオレにも考えがある・・・待っていろよ未亡人の後家城主!」

冒頭に書いたとおり、秋山信友は城主おつやの方を見事に口説き落として結婚するに至り、そのまま自分が入り婿城主になってしまったのです。
いったい秋山信友はどれほどのイイ男だったのでしょう? とても気になるところですね。


こりゃカタいだろうなあ

こうして岩村城は武田信玄の勢力下に入ったのですが、実の叔母に裏切られた信長のはらわたは煮えくり返るどころの騒ぎでは無かったでしょう。それでも当時の信長は、信長包囲網に四苦八苦しているところであり、とてもじゃないけど岩村城を奪還にしに行く余裕などはありませんでした。なればこそ、この秋山信友の策は成功したのでしょう。


こんなにのどかな城だったのに

そのまま信長が包囲網を打ち破ることなく滅ぼされていれば、秋山信友とおつやの方の未来はバラ色だったことしょう。でもその後、武田信玄が志半ばに倒れ、跡を継いだ武田勝頼が長篠の戦いで粉砕され、信長との最前線に位置する岩村城の立場は、非常に危ういものとなってしまったのです。
やがて岩村城は、信長の長男・織田信忠率いる5万の大軍に包囲されてしまいます。それでも城兵は、事情が事情だけに必死の防戦をし、なんと5ヶ月もの間、城を守りぬいたのでありました。それでも多勢に無勢、援軍の無い篭城戦です。ついに岩村城は落とされて、秋山信友とおつやの方は、逆さ磔のなぶり殺しにされてしまいました。


哀れ秋山夫妻…

それにしても・・・信長の叔母という立場にありながら、なぜおつやの方は織田家を裏切ってしまったのでしょう? 秋山信友がそんなにイイ男だったのか? 信友はどんなテを使っておつやの方を口説き落としたのか?
歴史には、本能寺の変における明智光秀とか、レイテ湾にてナゾの反転をした栗田中将などなど、当人に聞いてみないことには絶対に理由が分からない謎がたくさんあるものです。もしもいつかタイムマシンが発明されることがあるのなら、この秋山信友とおつやの方にも是非とも話を聞いてみたいところです。

岩村城
岐阜県恵那市岩村町 中央道中津川インターより30分


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