忍城 〜不沈の浮城〜 (2012/8/10)

忍城と書いて「おしじょう」と呼む武蔵国にあるこの城は、かつて北条氏康の猛攻を退け、あの上杉謙信をもってしても攻め落とすことが出来なかったという名城中の名城です。
そんな堅城・忍城の最期の戦いは、豊臣秀吉の小田原征伐でした。石田三成率いる2万の軍勢が城兵3千を擁する忍城を取り囲みます。三成軍は多勢をもって容赦なく襲い掛かりますが、なんと城主の娘・甲斐姫までもが前線に立って奮戦し、三成軍をまるで寄せ付けなかったのでした。
そこで業を煮やした三成は、この忍城近辺が湿地帯であることを利用して、水攻めにすることを画策します。かつて備中高松城攻めにおいて秀吉がやったように、城の周りに石田堤と呼ばれる大堤防をこしらえたのです。…が、これをうまいタイミングで城兵に壊されてしまい、むしろ味方の兵が多数激流に飲み込まれてしまうという散々な目にあったのです。忍城はそのことから別名を浮城とも呼ばれるようになりまいた。
そんなこんなで三成軍の猛攻に耐え抜いた忍城、最期は本城の小田原城が降伏してしまったために開城することになったのですが、忍城自体は決して負けた訳ではありません。
今日はそんな北条氏康、上杉謙信、石田三成…こんな錚々たるメンバーを相手に無敗を誇ったという戦国屈指の名城に出撃してまいりました。


当時はどんなだったのかな?

今となってはその面影は殆ど残っておりませんが、なんでもこの忍城近辺は湿地沼地に囲まれた天然の要害であり、平城なれどその防御力はハンパでは無かったようです。


本丸周りの土塁

湿地帯のはずなのに城のあたへんの地盤はしっかりしているのか、こんな立派な土塁があったりします。ネトネトの沼地をようやく越えて来たと思ったところにこんな壁があったんじゃあそりゃ攻めるのも大変ですよ。また、いくら水攻めしようなんて言ってみても、この土塁を崩すことは出来なかったでしょうね。


ちょっと立派な天守閣

これはもちろん再建天守閣ですし、そもそも戦国期においてはこんな天守閣は無かったのではないかと思います。まあそういう史実うんぬんは置いといて、この名城中の名城、忍城の跡がいまでもこうしてしっかりと管理されていて、この行田市のシンボルとして聳え立っている様はいい感じですね。


城内も綺麗

ふだん山城に行く度に、「何もない、だがそれがいい」を連呼しているアタシですが、こういうふうに綺麗に整備して史跡をしっかり守って行こうという姿勢にも、とても好感が持てますよ。


水城公園

忍城跡から500mばかし歩いたところに、かつて忍城の堀を取り壊した際に出来た池をそのまま公園にしたという、水城公園があります。こんなに綺麗な池が見事に出来てしまうような地形では、やはり水攻めをしてもうまく行かないんでしょうね。
なおこの水城公園の池、オタマジャクシやザリガニなんかが群生し、色んな種類の蝶やとんぼが舞っておりました。人口整備されていながらも自然な生態系を保持している素晴らしい池でした。


忍城&水城公園
埼玉県行田市役所裏


さきたま古墳群 〜古墳広がる大平原〜

さてこの忍城から3キロほど離れた場所に、かつて石田三成が本陣を置いた古墳跡があるというので、ついでにそちらの方も訪れてみることにしました。


古墳がいっぱい

ってなんだよここ…ついでに訪れるってレベルじゃないぞ。一箇所にこんなに古墳が固まっている場所ってかなり凄いんじゃね? 当初はたんに、三成が陣取った場所から忍城の方を見て、実際の水攻めってどんな感じだったのかな?なんてことを想像できればイっかくらいに思っていたのですが、どうやらこのさきたま古墳群は、これだけで十分にメインを張れる第一級の観光地のようなのですよ。


あのうえで三成が・・・

やっぱりまずは当初の目的である石田三成本陣跡・丸墓山古墳に来てみました。アタシとしてはたんに石田三成の陣所のつもりで来てみたこの丸墓山古墳なのですが、なんと!日本最大の円墳だというじゃありませんか。


た、高いぞ!

なるほど確かにデカい!見上げる!そして綺麗だ☆ かつて歴史の教科書とかで見たところで、古墳…ましてや円墳なんざタダ土を丸く持ってあるだけの丘だろくらいに思っていたのですが、実物を見てみたらその認識は大きく変わってしまいました。


あっちが忍城か

20mもあるというこの美しい盛り山の上に登ってみると、行田市の風景が実に綺麗に見えます。こうして見ると改めて、こんなダダっぴろい平野を水攻めにするなんてムリだろうなあって思いました。
こうしてこのさきたま古墳に来た当初の目的は達成されたのですが、実のところアタシ的にはもう忍城水攻めのことなんてどうでもよくなっており(爆)その忍城と反対側の景色に目が釘付けになってしまっていたのですよ。


こ、この形は!

おおお〜教科書にある前方後円墳の形そのまんまじゃん! 古墳なんて仁徳天皇陵とか教科書に載ってる航空写真を見てみても、ふーん綺麗だねとしか思わなかったけれど、いざ現実に見てみる前方後円墳は、すんげーカッコよかったですよ(><)
ちなみにこれは稲荷山古墳と呼ばれる全長120mの前方後円墳で、国宝となる金錯銘鉄剣が発掘されているそうです。


ふもとから見てもあの形w

アタシは今まで、古墳なんて所詮たんに土盛っただけの小山だろ?くらいに思っておりました。でもいざこうして現物を目の当たりにしてみると、ダンプカーもブルドーザーも、それどころかスコップやシャベルすらも無しにこんなドでかい墓を作り上げた古代人って超スゲエじゃんって感動してしまいましたよ。


古墳たちよ安らかに

このさきたま古墳群には6つの古墳があるのですが、周りはこのようにしっかり綺麗に整備され、楽しく気持ちよく古墳見学が出来るようになっております。古墳たちの居並ぶこの平原で浴びたそよ風は、どことなく古代の香りがするような、なんとも気持ちのいい風でした。


さきたま古墳群
忍城より3キロくらい


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