近江長浜巡り 2011年1月8日

近江長浜城 〜やったぜ城持ち大名だ!〜

かつて羽柴秀吉が本拠地とした、琵琶湖のほとりにある城です。この長浜の地は、もともとは小谷城の浅井長政が支配していたのですが、その小谷城を陥落させるに当たって抜群の戦功があった秀吉がこの浅井の旧領を貰い受けることとなり、その際に本拠地としたのがこの長浜城でした。

この長浜城は、要害なれど交通の便が悪い山城が流行らなくなり、平地の平城に移行して行った戦国時代の変革期に築かれた城であり、琵琶湖のすぐほとりの見晴らしのイイ場所に建っております。


琵琶湖のほとりを走って行くと…


おお、見えた見えた

当時の天守閣がこんなに立派なモノであったかどうかは分かりませんが、それでも秀吉が城の上から長浜城から琵琶湖を望み城下町を見下ろしていたことは間違いありません。足軽のペーペーから出発して苦労苦心を重ねてついに大名となった秀吉が、城が完成し、初めてそのてっぺんから眺めた琵琶湖の景色はどんなに嬉し美しく見えたことでしょう。


百万両の風景?

正直なところ、実はこの日の出撃作戦のメインは最期に紹介する小谷城で、それならついでに長浜で琵琶湖の魚と鮒寿司でも食べて来ようかくらいに思っていただけで、長浜城に来るつもりなんてまるで無かったのですよ。でも琵琶湖のほとりを走っていたら何やらカッコいい天守閣が目に留まったので、それならちょっくら見てみようと思って立ち寄っただけなのでした(^^;


見た目は立派なんだけどね

ってことでそもそもアタシは、特に有名な戦があった訳でもなく、中が博物館な模擬天守閣が建っているだけの長浜城には、史跡的な意味ではまるで興味はありませんでした。でもちょっくら立ち寄っただけのアタシですら「おお、綺麗な眺めだなー」って思ったこの天守閣からの琵琶湖の眺めです。それなら得意満面の秀吉の目には、いったいどれだけ至高の景色に感じたのかなあ? そんなことを想像していたら、やっぱりココに来て良かったなと思いました。


城下に臨む公園


長浜城 JR長浜駅から徒歩5分


近江長浜・住茂登 〜琵琶湖の鮒寿司と川魚料理〜


長浜城を後にして、次は琵琶湖の川魚料理を食べるために長浜にある郷土料理店・住茂登(すみもと)に立ち寄ってみました。長浜城からは歩いて10分くらいの距離です。
事前のリサーチによれば、ココは数少ない自家製鮒寿司を食べさせてくれる郷土料理割烹とのことで、他にも琵琶湖の鴨料理や琵琶湖のお造り定食なんてものもあるようです。鮒寿司は過去に美味しんぼに何度か登場しているのを見て、是非一度は食べてみたいと前から思っていたし、過去ログを見てすでにお気づきの方もおるかと思いますが、アタシは川魚の料理が大好きなので、店に近づくにつれてむしろ小谷城よりかはこっちがメインなんじゃないかってくらいワクワクが止まりませんでした☆

長浜の町はさすがに秀吉の作った城下町だけあって、実に歴史と趣に溢れております。このシブ美しい商店街を探索しているだけでもなかなかどうして楽しいです。近江牛やらイモのお菓子やら鮒ではないけど慣れ寿司やらと名産品がいっぱいあるし、それに何より町並みに古めかしい重みがありますからね。この長浜の商店街だけでも観光のメインに添えて来てみる価値があるかなと思いましたよ。


長浜の商店街

ってことで長浜駅前の商店街を探索すること15分ほどで、目当ての住茂登に到着しました。大通寺という長浜市の氏寺とも言えそうな大きな寺の門前通りにあるこの住茂登は、立地も店構えもバッチリです。間違いない、ココはおいしいモノが出てくる!そう期待して入ってみると、やはり思ったとおり、郷土料理のメニューがこれでもかこれでもかと揃えられておりました。


キツネがかわいいw

えてしてこういう店に来ると、食べたいものは色々あれど、自分の胃袋の大きさがために涙を呑んで頼むものを絞ることが多いのですが、なんと!アタシの要望を全て満たすであろう琵琶湖川魚いろいろ&鮒寿司のセットと言うものがあるではありませんか(><) 値段は3670円と張りますけれど、アタシが食べてみたいものが小出しに色々出てくるってのは超魅力です☆ 迷うことなくこれを頼むことにしました。


じゃーん

おお、こいつはすげえ(><) 左上から順に、

子鮎の佃煮、五穀米ごはん、近江牛の菜の花包み、鮒寿司、鮒の刺身、モロコの塩焼き、

その他写真には写っていませんが、川エビの和え物とのっぺうどん、のっぺ汁という超豪華メニューです☆ やっぱこの店選んで良かったー☆☆

まずは何と言ってもアタシが一番食べたかったのは鮒寿司です。これは、ごはんと鮒を酢を使わずに塩だけで醗酵させたものでして、琵琶湖でしか食べられない貴重品なうえに美味しんぼにて絶賛されていた逸品です。・・・でもまあ正直なところ、これはたんに話のタネに珍しいモノが食べてみたいと思っていただけで味にはさほど期待はしていなかったのですが、案の定そんなモンでした(^^; 

美味しんぼによれば、とにかく匂いがキツいとのことだったのですが、それほど凄い匂いでもなく、ちょっと強めのすえたチーズの匂いって感じでしょうか? ダメな人は絶対ダメなんでしょうけれど、アタシ的にはフツーに食べられる範囲のものでした。味の方は、マズいってことは無いけれど、特筆するほどウマいと言うほどでもない、「珍味」ってヤツでしたね。ってことで特別おいしいって訳でも無いし噂ほど酷い匂いでも無かった鮒寿司でしたが、まあそれはそれで、実際に食べれたってことでアタシ的には満足でしたねw


鮒寿司と鮒の刺身

あとその他メニューについてなのですが、どれもこれも美味しかったです(^^) 鮒寿司の次に変わりダネのメニューというと鮒の刺身かと思いますけれど、これはふつーに美味しかったです☆ 泥臭さは全然なくて良く引き締まっており、川魚ならではの澄んだ淡白な味がとても良かったですね。あとモロコの塩焼きもそんな感じでした。近江牛、子鮎、のっぺも美味しかったですし、まずは琵琶湖の味が堪能できて良かったですよ☆


大通寺の門前通り


長浜住茂登 JR長浜駅から徒歩5分

グルメ度/★★★★


小谷城 〜山城を作るための山〜

琵琶湖の美味しい魚料理で腹が膨れたところで、長浜の城下町を抜けて車で30分。いよいよ本命の小谷城に突入です。
アタシの中にはいつか行ってみたい史跡リストってのがあるのですが、その一つがこの小谷城でした。小谷城は琵琶湖の南に位置する、かつて織田信長の義弟・浅井長政&お市夫妻が本拠としていた城で、壮絶な攻城戦があった要害の堅城なうえに、尚且つ当時の遺構もたくさん残っているという、戦国マニア必見の山城です。でもさすがに近江は遠いんで、いつか機会があったらなくらいに思っていたのが、なんと!2011年の大河ドラマは浅井長政の娘・お江なんぞが主人公になっちゃったじゃないですか。それじゃあうかうかしてたら大河バブルの観光客が溢れる上に、何もないのが面白いという山城の魅力を台無しにする変なオブジェクトが出来たりする可能性が出てきたので、こりゃあ意地でも大河ドラマが始まる前に小谷城に行っておかないなと思い立ち、こんな真冬の雪積もる中を無理矢理行って来た訳ですよ。

やはり大河ドラマの舞台となっただけあって、道中にはココぞとばかりに幟がいっぱい立っています。また、いかにも大河ドラマに合わせて急ごしらえで作ったような戦国資料館なんかもあって、改めて大河ドラマの威光ってのを思い知らされました。


微妙な戦国三姉妹w

幟の林を抜けて小谷城の入り口に辿りつくと、ようこそ!小谷城の案内板と10台ばかし車が停められるスペースがあります。その狭い駐車場を見て改めて、大河ドラマ始まる前に来て良かったなと思いましたわ。そんでもってその駐車場から先も、更に車で本丸そばまで登って行くことが出来るのですが、この道がまた車2台すれ違うのがちょっとキツそうな狭い道でした。こんなに狭い駐車場&道じゃあ大河バブルで押し寄せて来るであろう観光客をとてもじゃないけど支えきれませんよ(^^;


山城の道なんだからなあ…

とまあ観光インフラの話はとりあえず置いておくとして、この小谷城、車で登れたからまだ楽で良かったですけれど、もしそうじゃなかったら、まさしくアタシがいつも言っている典型的な、「なんでこんなに出入りするのに疲れる場所に立てるんだYO!」って山城でしたw でもこの小谷城のある山は、地勢的防御力的には、正に城を建てるためにあるような山なんだなってことも、山道からふもとを見おろしてとてもよく分かりました。

この小谷城のある山は、とにかく細くてなだらかな斜面が続いており、その山道の途中には、廓輪(廓輪とは塀で囲った防御陣のこと)を作るためにあるようなスペースが実に沢山あります。


小高く盛り上がった土の上は…


正に出丸を作るための台地です


連絡網もしっかり繋げられます

また、左右どちらも谷であるという尾根だけで出来た山って感じの地形なので、正面の守りを固めやすいし見晴らしも良いという、アタシが今までに巡った山城の中ではこれほど立地条件のイイ山は見たことがありませんよ。


こりゃよく見えるわ

いくつかの廓輪跡を抜けると、これ以上車で進めない所までやって来ました。そこに来てようやく小谷城全体の看板があり、今までに見てきたものはあくまで出丸で、本当の小谷城はココからだということが分かりました。ちなみにこの看板のある場所は、車がせいぜい2,3台くらいしか停めることが出来ず、またまた改めて大河ドラマシーズン前に来ておいて良かったなと思いましたよ。こりゃヘタすると自家用車乗り入れ禁止になるんじゃないかなあ?


なんという細長さ

それにしても…あの出丸の林を抜けるだけでもこんなに大変なのに、一体全体誰がこんなところまで攻め込んで来れんだYO!と思います。信長公はよくもまあこんな城を落としたものですよ。
さてココからはいよいよ自分の足で歩かなくてはなりません。しかも真冬に無理して来てみた山城なんで、あたり一面雪道です。真っ白な雪を踏み分けながら先を進んで行くのはなかなかどうして骨が折れましたが、この日は天気は悪くなかったし、風も無くそんなに寒くもありません。むしろこんな白銀の山城を見る機会なんてのはそうそう無いだろうなと思うと結構テンション上がって来ました☆


こんな山城の景色は滅多に見れないよねw

さて「なんでこんなに以下略」な山道を10分ほど歩くと、ちょっと大きな広場に出てきました。その奥には石垣に盛り土がしてある小高い場所があり、ああココが本丸跡だったんだなと一目で分かります。その丘の上にはもちろん、何も建っておりません・・・だがそれがいい。


これでこそ城址だよな☆


何もない、だがそれがいい

尾根だけで出来てるような山の上にある左右見開きの小高いスペース。いったいココに山城作って本丸置かなきゃ何処に山城作るんだYO! 


見晴らしもバッチリ


ちょっと一息w

ってことで小谷城。ココは正に山城of山城であることが実によく分かりました。遺構は沢山残っているし見晴らしは良いし、歩いていて気持ちイイし空気もおいしいし。ちょっと運動した後の真冬の澄んだ冷たい空気があんまし気持ちよかったんで、そう言えばココが浅井長政が自刃して、お市の方と戦国三姉妹が引き離された悲劇の城だったなんてことをすっかり忘れてしまっておりましたよ(^^;


ふもとから見た小谷城

アタシが小谷城を訪れたこの1月8日は、まだ大河ドラマが始まっていなかったのと冬真っ盛りだと言うこともあって人も殆どいなかったし(それでもアタシの他に10人くらいは人がいましたが)車で上まで行くことも出来たけど、大河ドラマが始まったらどうなるのかなあ…まあとにかくだ、この山城of山城・小谷城、来たのがこの雪積もる晴れ渡った日で本当良かったと思いますよ。


小谷城

北陸道・木之本インターと長浜インターの間くらい。国道365線沿いに看板あり



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