小谷城 〜山城を作るための山〜 (2011/1/8)

アタシの中にはいつか行ってみたい史跡リストってのがあるのですが、その一つがこの小谷城でした。小谷城は琵琶湖の南に位置する、かつて織田信長の義弟・浅井長政&お市夫妻が本拠としていた城で、壮絶な攻城戦があった要害の堅城なうえに、尚且つ当時の遺構もたくさん残っているという、戦国マニア必見の山城です。でもさすがに近江は遠いんで、いつか機会があったらなくらいに思っていたのが、なんと!2011年の大河ドラマは浅井長政の娘・お江なんぞが主人公になっちゃったじゃないですか。それじゃあうかうかしてたら大河バブルの観光客が溢れる上に、何もないのが面白いという山城の魅力を台無しにする変なオブジェクトが出来たりする可能性が出てきたので、こりゃあ意地でも大河ドラマが始まる前に小谷城に行っておかないなと思い立ち、こんな真冬の雪積もる中を無理矢理行って来た訳ですよ。

やはり大河ドラマの舞台となっただけあって、道中にはココぞとばかりに幟がいっぱい立っています。また、いかにも大河ドラマに合わせて急ごしらえで作ったような戦国資料館なんかもあって、改めて大河ドラマの威光ってのを思い知らされました。


微妙な戦国三姉妹w

幟の林を抜けて小谷城の入り口に辿りつくと、ようこそ!小谷城の案内板と10台ばかし車が停められるスペースがあります。その狭い駐車場を見て改めて、大河ドラマ始まる前に来て良かったなと思いましたわ。そんでもってその駐車場から先も、更に車で本丸そばまで登って行くことが出来るのですが、この道がまた車2台すれ違うのがちょっとキツそうな狭い道でした。こんなに狭い駐車場&道じゃあ大河バブルで押し寄せて来るであろう観光客をとてもじゃないけど支えきれませんよ(^^;


山城の道なんだからなあ…

とまあ観光インフラの話はとりあえず置いておくとして、この小谷城、車で登れたからまだ楽で良かったですけれど、もしそうじゃなかったら、まさしくアタシがいつも言っている典型的な、「なんでこんなに出入りするのに疲れる場所に立てるんだYO!」って山城でしたw でもこの小谷城のある山は、地勢的防御力的には、正に城を建てるためにあるような山なんだなってことも、山道からふもとを見おろしてとてもよく分かりました。

この小谷城のある山は、とにかく細くてなだらかな斜面が続いており、その山道の途中には、廓輪(廓輪とは塀で囲った防御陣のこと)を作るためにあるようなスペースが実に沢山あります。


小高く盛り上がった土の上は…


正に出丸を作るための台地です


連絡網もしっかり繋げられます

また、左右どちらも谷であるという尾根だけで出来た山って感じの地形なので、正面の守りを固めやすいし見晴らしも良いという、アタシが今までに巡った山城の中ではこれほど立地条件のイイ山は見たことがありませんよ。


こりゃよく見えるわ

いくつかの廓輪跡を抜けると、これ以上車で進めない所までやって来ました。そこに来てようやく小谷城全体の看板があり、今までに見てきたものはあくまで出丸で、本当の小谷城はココからだということが分かりました。ちなみにこの看板のある場所は、車がせいぜい2,3台くらいしか停めることが出来ず、またまた改めて大河ドラマシーズン前に来ておいて良かったなと思いましたよ。こりゃヘタすると自家用車乗り入れ禁止になるんじゃないかなあ?


なんという細長さ

それにしても…あの出丸の林を抜けるだけでもこんなに大変なのに、一体全体誰がこんなところまで攻め込んで来れんだYO!と思います。信長公はよくもまあこんな城を落としたものですよ。
さてココからはいよいよ自分の足で歩かなくてはなりません。しかも真冬に無理して来てみた山城なんで、あたり一面雪道です。真っ白な雪を踏み分けながら先を進んで行くのはなかなかどうして骨が折れましたが、この日は天気は悪くなかったし、風も無くそんなに寒くもありません。むしろこんな白銀の山城を見る機会なんてのはそうそう無いだろうなと思うと結構テンション上がって来ました☆


こんな山城の景色は滅多に見れないよねw

さて「なんでこんなに以下略」な山道を10分ほど歩くと、ちょっと大きな広場に出てきました。その奥には石垣に盛り土がしてある小高い場所があり、ああココが本丸跡だったんだなと一目で分かります。その丘の上にはもちろん、何も建っておりません・・・だがそれがいい。


これでこそ城址だよな☆


何もない、だがそれがいい

尾根だけで出来てるような山の上にある左右見開きの小高いスペース。いったいココに山城作って本丸置かなきゃ何処に山城作るんだYO! 


見晴らしもバッチリ


ちょっと一息w

ってことで小谷城。ココは正に山城of山城であることが実によく分かりました。遺構は沢山残っているし見晴らしは良いし、歩いていて気持ちイイし空気もおいしいし。ちょっと運動した後の真冬の澄んだ冷たい空気があんまし気持ちよかったんで、そう言えばココが浅井長政が自刃して、お市の方と戦国三姉妹が引き離された悲劇の城だったなんてことをすっかり忘れてしまっておりましたよ(^^;


ふもとから見た小谷城

アタシが小谷城を訪れたこの1月8日は、まだ大河ドラマが始まっていなかったのと冬真っ盛りだと言うこともあって人も殆どいなかったし(それでもアタシの他に10人くらいは人がいましたが)車で上まで行くことも出来たけど、大河ドラマが始まったらどうなるのかなあ…まあとにかくだ、この山城of山城・小谷城、来たのがこの雪積もる晴れ渡った日で本当良かったと思いますよ。


小谷城

北陸道・木之本インターと長浜インターの間くらい。国道365線沿いに看板あり


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