一の谷(須磨浦公園) 〜大馬鹿と大天才は紙一重〜 (2012.7.16)

神戸市須磨区にある、源平合戦のハイライトの一つを飾る伝説の古戦場です。
この一の谷は都を追い落とされた平家の一門が本拠を構え、正面には瀬戸内海が広がり背後には険しい山がそびえ立ち、両サイドは森に囲まれているという正に難攻不落の要害でした。これなら京都から攻めて来る源氏を迎え撃つには東サイドの森さえ固めていれば大丈夫だろうと平家は一の谷の東に広がる生田の森に守りの重点をおき、また実際、源氏の本隊もそちらから攻め寄せていたのでした。・・・が、なんと!戦の天才・源義経ひきいる別働隊が、まさか誰もこんな場所からは攻めては来れないだろと思っていた平家軍の背後に広がる断崖絶壁から奇襲攻撃をかけて平家軍をさんざんに打ち破ったのです。


伝説の舞台へ

義経が地元の猟師に対して
「この崖を馬で下ることができると思うか?」
と聞いたところ、
「ごくごく稀に鹿が下って行くことがあります」
と返されて、
「鹿が通れるなら馬も通れるだろ」

と無茶なことを言って駆け下りていった断崖絶壁は現在、ロープウエーで上まで行ける須磨浦公園となっております。


綺麗だけどこわーい

どうです?このロープウェイ。こんな断崖絶壁を馬で降りようなんて無茶苦茶だと思いません?なるほどこれは確かに平家が防御ガン無視していたのも当然でしょう。っていうかこんなところから奇襲攻撃をかけようだなんて思いつくのは、大天才か、あるいはよっぽどの大馬鹿のどちらかだろうなとまざまざ実感させられました。
で、ロープウェイを登った先にあったのがこの景色なのですが・・・


美しい、美しすぎる(><)

言うまでもなくアタシは、古戦場めぐりの一環としてこの須磨浦公園に来たわけなのですが、一の谷だの逆落としだのは関係なしに、美しく広がる瀬戸内海、はるか向こうにたたずむ四国大陸、眼下に広がる神戸の街並みにただただウットリするだけでした。

・・・でも、今はアタシたち現代の人間が美しさに心奪われるこの絶景ですが、今から900年前にはその眼科には平家の大要塞が広がり、海には幾多の軍船が浮かんでいたはずです。それを見た義経は果たしてどんな顔をしていたんでしょうね? 油断しきっている平家の姿を見て勝利を確信し、ニヤリと笑ったのか、それともこの断崖絶壁を見て、実はちょっと後悔していたんだけど今更後には引けねえって部下の前だからと強がっていたのか・・・それとももしかしたら、眼下に広がる瀬戸内海の美しさに心奪われて、一瞬戦のことなんか忘れてしまったのかもしれません。


フツーに歩くのも大変

さてこの一の谷を尾根伝いに歩いて行くと、ますます義経の奇襲作戦がキチガイじみたものだと実感させられました。こんなに細くてクネってデコボコした道を敵に見つからないように騎馬隊を率いて移動しただなんてありえねーだろ(><)いやはや本当、義経ってヤツは本当に大天才にして大馬鹿者ですよ。


何もなくても転びそうです

そんでもって実際に義経が下って行ったと言われている道を歩いて下ってみたのですが、こんなの馬に乗って降りて行こうなんておかしいって絶対(^^; そりゃあ平家の軍勢が一目散に逃げ出すのも当然ですよ。こんな絶壁を馬に乗って攻めて来るなんていう狂気の化け物集団とまともに戦おうだなんて絶対思いませんよ。


まさに断崖絶壁

なんでも一の谷にいた平家は数万の軍勢で、義経率いる別働隊は100にも満たないって話だったのですが、そりゃあこんなキチガイ集団が相手だったら、何万の軍勢がいても勝てる気がしなかったことでしょうよ。降りてきた崖を改めて下から仰ぎ見てみると、こんな無茶苦茶な作戦を見事に成功させてしまった源義経という英雄は、マジで神が時代を動かすために地上に遣わした存在だったのではないかと考えさせられてしまいました。

さて義経が奇襲攻撃をかけて平敦盛を始めとする平家一門衆を何人も打ち取ったとされる一の谷要塞跡ですが、今は多くの神戸市民が行楽に集う海水浴場となっております。もう伝説の古戦場としての面影はまるで残っておりません。よりによってこんな海水浴シーズンでゴッタがえすこんな時期にこの一の谷に来てしまったことをちょっと後悔してしまいました。これが誰もいない春や秋の砂浜だったら、もうちょっとノスタルジーにかつての激戦を想像できたんでしょうけどね。


これはちょっとな(^^;

それでも須磨浦公園の上から眺めた、真夏の青空の下に広がる瀬戸内海の美しさはこの季節ならではのものでしょう。それを思い出して、やっぱりこの一の谷には夏に来て良かったんだなと、そう思うことにしました。


夏なればこその海景色


須磨浦公園

神戸市中心部から5キロ程度


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