平井城 〜踏んでしまった虎の尾〜  (2013/12/14)

上野(群馬県)南部に位置する平井城は、関東に覇を唱えんとする名将・北条氏康にとっての虎の尾だったと言えるでしょう。


踏んではいけない城だった?

1550年頃…戦国時代全盛期にこの平井城を支配していたのは関東管領を務める名門中の名門、山内上杉氏の当主・上杉憲政という人物でした。憲政は正にバカ殿おぼっちゃんのステレオタイプと言ってもよく、隣国の北条氏康から散々にカモられていたのです。


あまり強そうな城じゃありませんね(^^;

氏康にメタメタにやられまくった憲政が最後に立て篭もったのがこの平井城なのですが、これまたアッサリと落とされてしまいます。


土塁は綺麗なんですけどねえ

残念ながら憲政こそは取り逃がしてしまったものの、この平井城陥落により山内上杉氏の影響力は関東地方から完全に消え去り、上野の地は北条氏康の支配下におかれることになったのでした。


本丸の保存状態悪すぎ(><)

宿敵上杉氏の放逐! 関東地方の制覇! これでついに北条氏開祖・早雲以来の宿願を果たすことが出来た! きっと氏康はそのように思い、感極まっていたのではないかと思います。いやこれは北条氏康だけに限った話ではないでしょう。関東地方における上杉時代は終了し、北条氏康による新時代が到来したと、関東一円の小領主、あるいは今川義元や武田晴信と言ったライバルたちも認めていたことでしょう。


よく整備された空堀跡

…でも未来の我々は知っています。氏康の代においては関東地方における北条新時代が訪れることは無かったと。というか平井城が陥落したことにより、関東地方はむしろ混迷を極めることになったのです。
平井城を逃れた憲政は、越後の長尾景虎…後の上杉謙信のもとに逃げ込んで、打倒北条に力を貸してくれとお願いします。すると景虎は、その依頼を快くそれを引き受けて、対北条戦争をおっぱじめてくれたのでありました。
しかもこの景虎という男、義の心一辺倒で採算度外視に攻めて来るので物凄くタチが悪いのです。自軍の損害損得関係無しに、本気の戦ばかり仕掛けてくるのでたまったものではありません。
先祖代々の宿願を果たしたはずの平井城攻略は、実は氏康にとってはトンでもない虎の尾だったのでありました。
我々は歴史の結果を知っています。もしもタイムマシンがあったのならば、筆者は氏康の下に赴いて、平井城は押すなよ!…じゃなくて攻めるなよ、絶対攻めるなよ!と言ってあげたいところです。
なお、このへんのエピソードについては、上杉謙信 〜戦国のヘンタイ伝に書いておりますので、よろしかったら読んでみてください。

平井城 群馬県藤岡市
上信越自動車道 吉井インターから20分


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